製造業や工場の仕事というと、単純な流れ作業を淡々とこなす、機械の操作が難しそう、油まみれになりキツそうというイメージがあるかもしれません。
また、どういった資格を修得すれば、どういった形態の職種に就くことができるのか? 資格の修得の仕方は? 製造業はどのくらい稼げるのか? 製造業の魅力とは?
上記の冒頭文にそって具体的に解説していこうと思います。
製造業とは、どんな仕事なのか? 魅力は?
私は、長く製造業に従事しており、染色工場から電子部品、プラスチックの成形、自動車部品の製造までいろんな経験をしてきました。
製造業の現場仕事というのは、ただ物を作るだけではなく、
など多岐にわたります。
製造業へ転職をする際に、期間工などの一時的な仕事でも、例えばフォークリフトの免許を持っていれば運搬業務の仕事へ配属される可能性もでてくるわけです。
未経験で資格がなくても機械オペレーターの業務を任せられることもありますし、単純作業の組み立てやネジ打ち、検査の仕事を任されることもあります。
製造業に関わる何かしらの資格を修得していれば、仕事の幅が広がりやりがいもでてきますし、資格手当もあり、かつ資格の更新もありませんから一生モンです、あるに越したことはないです。
それでは、製造業に役立つ資格を解説していきます。
製造業はどんな資格があるのか?
製造業の資格には、国家資格から公的資格(国家資格と民間資格の中間)があり、電気工事士や危険物は国家資格に分類し、フォークリフトや玉掛け、クレーン、溶接(ガス・アーク)などは公的資格に分類します。国家資格は勉強しなければならないし、必ずしも合格できるという保証もないですから、まずは比較的簡単に修得でき、かつ即戦力になる公的資格をおすすめします。
フォークリフト運転
私がまず一番初めに製造業の資格を修得したのがフォークリフトです。その当時、教習所の中でも一番人気がある資格で受講生も多く女性も何人かいました。
フォークリフトの資格の種類
車やバイクの免許同様、大型・小型と2種類あります。
まず小型の積載量1トン未満のフォークリフトの作業ができる「フォークリフト運転特別教育修了証」、そして大型の積載量1トン以上のフォークリフトの作業ができる「フォークリフト運転技能講習修了証」です。
圧倒的に「フォークリフト運転技能講習修了証」を修得する方が多いですし、転職にも有利です。
フォークリフトの資格はどうやって取得するの?
受講資格は18歳以上です。車の免許がない方でも受講できますが、その分、講習時間は長くなりますし費用も高くなります。
積載量1トン未満「フォークリフト運転特別教育修了証」の講習は、各事業所で行われており、実施している団体に申し込み、講習を受けて修了すれば、資格を修得できます。
講習時間は学科・実技を合わせて12時間です。
積載量1トン以上「フォークリフト運転技能講習修了証」の講習は、各都道府県の労働局長に登録をしてある教習所などで行われており、講習・試験に合格すれば、資格を修得できます。
講習時間は学科・実技を合わせて35時間です。
フォークリフト資格の取得にかかる日数・費用は?
上記の積載量1トン未満「フォークリフト運転特別教育修了証」と積載量1トン以上「フォークリフト運転技能講習修了証」の資格修得にかかる日数・費用を解説をします。また、ご自分が保有している免許・資格によっても影響します。
最大積載量1トン未満のフォークリフト(特別教育)
講習時間 | 学科6時間・実技6時間 | |
講習日数 | 2日間 | |
取得費用 | 平均15,000円 |
最大積載量1トン以上のフォークリフト(受講資格なしの場合)
講習時間 | 35時間 |
講習日数 | 約4~5日 |
講習費用 | 約50,000円 |
資格・免許の所持者に対する講習免除の一覧
免許・資格の所持 | 免除対象の講習時間 | 講習時間・日数 |
大型特殊自働車免許 | ・学科4時間 ・実技20時間 | 11時間 約2日 |
普通・大型免許及び1t未満のフ ォークリフト経験が3ヵ月以上 | ・学科4時間 ・実技20時間 | 11時間 約2日 |
免許なし及び1t未満のフォー クリフト経験が6ヵ月以上 | ・実技20時間 | 15時間 約5日 |
普通自動車免許 | ・学科4時間 | 31時間 約5日 |
無資格、及び経験なし | ・免除なし | 35時間 約5日 |
玉掛け
玉掛けとは、一度は耳にしたことがあると思いますが、クレーンなどに荷(物品)を掛け外しする作業のことをいいます。「えっ、それだけのことで資格がいるの?」と思われるかもしれませんが、ただ物を掛け外しするだけではなく、ワイヤー選定やクレーン運転者に合図を送ったりなど危険を伴う作業ですので資格が必須となってきます。
なお、玉掛けだけではなく、クレーンも一緒に資格を修得するのが一般的で、めんどくさいかと感じられるかもしれませんが、製造業は玉掛けとクレーンの運転は同時に行いますので、2つ資格が必要となってきます。
玉掛けの資格の種類
フォークリフトの資格と同様、「技能講習」と「特別教育」の2種類あります。
まずは、1トン未満の玉掛けの作業ができる「玉掛け特別教育修了証」、そして1トン以上の玉掛けの作業ができる「玉掛け技能講習終了証」です。
講習時間は、学科・実技を合わせて2日間(9時間)です。
この資格もフォークリフトと同様に、「玉掛け技能講習修了証」を修得する方が多いですし、転職にも有利です。
講習時間は、学科・実技を合わせて3日間(19時間)です。
玉掛けの資格はどうやって取得するの?
玉掛けの資格取得は、18歳以上であれば誰でも受講することができます。
1トン未満の「玉掛け特別教育修了証」の講習は、各都道府県の登録教習機関や企業などの事業所などで実施しており、講習を受けて修了すれば、資格を修了することができます。
1トン以上の「玉掛け技能講習修了証」の講習は、各都道府県の労働局長に登録をしてある教習所などで行われており、講習・試験に合格すれば、資格を修得できます。
玉掛けの資格の取得にかかる日数・費用は?
上記の1トン未満「玉掛け特別教育修了証」と1トン以上「玉掛け技能講習修了証」の資格修得にかかる日数・費用を解説をします。
1トン未満の玉掛け(特別教育)
講習時間 | 学科6時間・実技4時間 | |
講習日数 | 2日間(約10時間) | |
取得費用 | 約14,000~20,000円 |
1トン以上の玉掛け(技能講習)
講習時間 | 学科12時間・実技7時間 | |
講習日数 | 3日間(約19時間) | |
取得費用 | 約23,000~29,000円 |
クレーンの運転
上記で説明した、玉掛けとセットで資格を取得するクレーンです。この記事では工場で運転するクレーンの資格を解説します。
工場で使用するクレーンの資格の種類
工場で使用するクレーンとは、荷(物品)を動力を用いてつり上げ、これを水平に運搬することを目的とする機械装置です。重量物を取り扱うことになるので、労働災害を防ぐためにも資格が必須となってきます。
この資格も、「免許」と「技能講習」、「特別教育」の3種類あります。私も天井クレーン(ホイスト式)を運転していました。
クレーンの種類を大別すると、「天井クレーン」(含むホイスト式)、「ジブクレーン」(含む壁クレーン)、「橋型クレーン」、「テルハ」、その他のクレーン。
まずは、つり上げ荷重5トン未満のクレーン運転ができるの資格は「クレーン運転特別教育」と床上操作式クレーン「運転技能講習」、クレーン・デリック運転士免許、上記の通りクレーン関しては多岐わたるので、ここでは5トン未満の「クレーン運転特別教育」を解説します。
工場で転職する場合は、「クレーン特別教育」の需要は高く、かつ手っ取り早く資格を修得できるからです。
クレーンの資格はどうやって取得するの?
クレーン5トン未満の資格取得は、18歳以上であれば誰でも受講することができます。
つり上げ荷重5トン未満のクレーンの資格(特別教育修了証)の講習は、各都道府県の登録教習機関や企業などの事業所などで実施しており、講習を受けて修了すれば、資格を修了することができます。
クレーンの資格の取得にかかる日数・費用は?
上記の5トン未満「クレーン特別教育修了証」の資格修得にかかる日数・費用を解説をします。
5トン未満のクレーン(特別教育)
講習時間 | 学科9時間・実技4時間 | |
講習日数 | 2日間(約13時間) | |
取得費用 | 約16,000円 |
アーク溶接
数ある溶接の中で最も使用されている「アーク溶接」です。
アーク溶接とは、空気中の放電現象を利用して、同じ金属同士をつなぎ合わせる溶接方法です、建設工事現場で、片手にかぶり面を持ちもう片手に溶接棒で火花を飛ばしている職人さんをよく見ると思います。
工場でも、需要が高く転職に有利な資格です。
アーク溶接の資格はどうやって取得するの?
アーク溶接の資格は「特別教育修了証」です。ちなみにガス溶接は「技能講習修了証」ですが、工場で働く場合は、アーク溶接のほうが需要は高いです。
この資格も、18歳以上であれば誰でも受講することができます。
アーク溶接の資格(特別教育修了証)の講習は、各都道府県の登録教習機関や企業などの事業所などで実施しており、講習を受けて修了すれば、資格を修了することができます。
アーク溶接の資格の取得にかかる日数・費用は?
アーク溶接「クレーン特別教育修了証」の資格修得にかかる日数・費用を解説をします。
アーク溶接(特別教育)
講習時間 | 学科11時間・実技10時間 | |
講習日数 | 3日間(学科2日 / 実技1日) | |
取得費用 | 約11,600 ~ 25,000円 |
特別教育としては、講習時間(日数)が長くそれだけ知識や技術の学習が必要となってきます。費用のほうも教習所によってバラつきがあります。
製造業の仕事は、どのくらいの職種(形態)があるのか?
製造業とは、機械・食品・繊維など様々な業種がありますが、ものづくりという点では大筋共通しています。ちなみに私の製造業の経験は、機械(自動車部品・電子部品・プラスチック加工)と繊維です。
製造業の一般的なイメージだと、技術職が思い浮かびますが、技術以外でも営業や企画、開発、設計といったクリエイティブな仕事もあります。
ここでは、現場の製造業の業種ごとの特色を解説します。
機械関連の製造業
機械関連の製造業といえば、自動車・家電製品・医療機器などが挙げられます。一般的なイメージだと自動車製造は、部品が重く体力的にしんどい、家電・医療の製造は部品が細かく神経を使うから疲れるといったことが思い浮かびますが、自動車製造も細々した仕事もありますし、家電・医療でも大型の物を扱う部署はあります。
製造業へ転職する際は、体力に自信があるか見極め仕事を選んだほうが無難です。
食品関連の製造業
工場で製造する食品は、スーパーやコンビニで売られている食品が一般的です。
仕事内容としては、調理と違い高度なスキルを求められるのではなく、ライン作業がメインです。ライン作業は流れ作業なので遅くなると後のラインを止めることになるのでスピード感を要求されます。
この仕事は、パートやアルバイト、派遣の募集が多く、未経験者OKの広告もあるので、難しい仕事ではありません。
余談ですが私の友人で、パートで清掃会社へ入社しうどん工場の機械を清掃する仕事へ配属されました。夜勤の仕事なので体力的にきつかったそうですが、数ヵ月で正社員になり、数年のうちに管理職へ出世をしました。
繊維関連の製造業
私は、染色工場で働いていた時期がありました(主観的な記事で申し訳ないのですが)。
仕事内容としては、ロール巻きした糸をスピンドルにセットし、染色釜へ入れます(この工程では、玉掛けとクレーンの資格が必要)。機械操作をし釜内を加圧しながら染色していきます。
完成したら、規格内に染まっているか検査をし合格したら糸を乾燥させ、出荷していきます。
染色工場は夏の時期は本当に暑いです。この仕事も体力が必要となってきます。
まとめ
製造業の仕事はどの業種も基本的には、運搬・製造(加工)・検査・出荷の流れとなります。どんな単純な仕事でも基本は真心をこめて仕事をする姿勢は変わらないです。
一番、気をつけてほしいのは現場仕事なので、事故やケガは絶対に起こさないようにしてください。そのために資格というのがあり、安全に仕事をするというのは手抜きをしないので非効率にみえますが逆に効率が上がるのは事実です。
転職しいい職場へ働けるよう願っています。